第40回 読み手に安心感を与えるチラシ作り

この記事は、2015年にキリスト新聞で1年間した「スキルアップ講座 教会の情報発信術」を、さらに修正を加えて2016年度版として公開するものです。キリスト新聞はキリスト教界の最新情報を毎週まさに新聞という形で届けてくれ、たいへんためになる情報も盛りだくさんです。このような機会を与えてくださったキリスト新聞社のみなさまに感謝します。全42回です。

相手に伝わるチラシを作る

今回は教会のチラシ(トラクト)について考えます。といっても、ここではどういうソフトを使うべきとか、どういうデザインが良いかということには触れません。このコーナーでは、どうしたら「伝わる」チラシになるか、何を書くべきかを考えたいと思います。

パソコンが扱える人は、チラシなんて簡単にできると思っていらっしゃるかもしれません。しかし、「相手に伝わる」チラシをつくるのはむずかしいことです。お仕事としてチラシを作った経験のある方は多くないと思います。企業が作るチラシは結果が求められます。何枚配ってどの程度の反応があったのか。数値に出して反応が悪いチラシはどこがよくなかったのかを分析し、次のチラシの制作に活かします。担当者は必死で反応が良いチラシを作るために努力します。

どこにキャッチコピーを置くのか、一番売りたい商品をどこに配置するのか、頭を絞りに絞って、ようやく反応が良いチラシができます。業種や商品単価にもよりますが、一万枚配って一件の問い合わせがあれば、そこそこ良いチラシと言われます。企業がそこまで努力しても、反応があるのは一万分の一です。わたしたちが安易な気持ちでチラシを作っても、目に見える効果がなかなか得られないのは当然です。

といっても、教会のチラシがまったく無意味なわけではありません。反応がなくても、近くに教会があるということは伝わっているかもしれません。とはいえ、やはりチラシを見て、教会に来てくださることを目標としたいですね。どうしたらそんなチラシになるか、もっと知恵を絞る必要があります。

「信頼を得る」ことが目的

No.40 図1 イメージ広告とレスポンス広告

左図を見てください。これは以前にも紹介したものです。
2つのチラシがありますね。どちらも同じ教会のチラシです。チラシを作る時、多くの方が上のようなチラシを目指そうとします。なぜなら、みなさんがよく目にしているのは、駅で見かけるアーティストのコンサート案内や、新聞で見かける大企業の全面広告のようなものだからです。そのような広告にはあまり文字がなく、すっきりしていて、センス良く感じられます。しかし、わたしたちはそのような広告を真似するべきではありません。アーティストや大企業が作る広告とわたしたち教会が作る広告は、目的が異なるからです。

アーティストや大企業の目的は主にイメージアップです。一方わたしたちが作る広告は「信頼を得る」ことです。わたしたちには知名度はありません。信頼もありません。信頼を築くところから始める必要があります

下のチラシは素人が作ったような手書き風のチラシです。しかし、反応が良いチラシは断然下のチラシです。なぜでしょうか。
それは信頼を得ることを目的としてチラシを作っているからです。上のチラシは「うちの教会素敵でしょ」という感じですね。あんまり読み手のことを考えているとは言えないですね。それに対して下のチラシは読み手の目線で安心を与えているのです。

安心を与えよう

信頼を得るチラシで重要な要素の一つが「安心を与える」ことです。みなさんが作るチラシの中に安心を与える要素はありますか。「勧誘をすることは一切ありません」「はじめての方大歓迎です。」「気軽にお越しください」という一文があるだけで全然読み手に与える印象が違います。牧師やスタッフの写真、教会内部の写真も安心を与えます。読み手はみなさんのことを知りません。知らない相手のところにみなさんは簡単に行きますか? 行きませんよね。ぜひ、チラシを作る時、「安心を与えているか」ということに注意してつくってみてください。