第41回 ベネフィットを明確に提示する

この記事は、2015年にキリスト新聞で1年間した「スキルアップ講座 教会の情報発信術」を、さらに修正を加えて2016年度版として公開するものです。キリスト新聞はキリスト教界の最新情報を毎週まさに新聞という形で届けてくれ、たいへんためになる情報も盛りだくさんです。このような機会を与えてくださったキリスト新聞社のみなさまに感謝します。全42回です。

ベネフィットとは?

前回は伝わる教会チラシの作り方を考えてみました。信頼を得るために、安心感を与えるような内容であることが大切だという話をしました。今回は、伝わるチラシにするためにもう一つ重要なポイントをお伝えしましょう。

チラシで重要なポイントは「ベネフィット」です。ベネフィットというのは、マーケティング用語ですが、「その商品を購入することで得られる価値」です。メリットと似ていますが、ちょっと違います。「有名講師の演説が1000円で聞ける」のがメリットだとすれば、ベネフィットは「その講師の演説を聞くと人生観が変わる」ということです。メリットは単なる商品の特徴ですが、ベネフィットはその商品を手に入れることで、どんな体験、変化が得られるかを表します。

教会の情報発信にもベネフィットの訴求が必要!

教会の作るチラシも同じことが言えます。わたしはいろいろな教会の多くのチラシを見てきましたが、ベネフィットが明瞭なチラシはわずかです。メリットすら書いていないチラシも少なくありません。これではなかなか読まれないでしょう。

みなさんが教会に行ったことで得られたベネフィットは何ですか?毎週日曜日の朝、普通の人にとってはゆっくり朝寝坊して、のんびり過ごしたい時間帯です。そんな時でも、早起きをして教会に毎週欠かさず行く理由はなんですか?信徒ではない方々にどう説明しますか?

わたしが教会に行き始めたのは、当時、役員を勤めていた会社の経営が悪化し、従業員に辞めてもらう必要がでてきた時でした。そんな状況でも、教会に行くことで心の安定を図れるのではないか、人生の指針を与えてくれるのではないか、というベネフィットを期待していました。チラシを作る方々は、教会員の証しを読まれるといいかもしれませんね。

ベネフィットというと難しそうに聞こえますが、そんなにたいそうなことではありません。「人生観が180度変わります!」これも立派なベネフィットです。「毎週礼拝に出ていると心が軽くなります」でもいいでしょう。ゴスペルコンサートなら「神に捧げる歌声があなたの魂もきっと揺さぶります!」でしょうか。「人間関係でお悩みの方、心に苦しみを抱えている方は、一度教会に起こしください」というのは明確なベネフィットとは言えないかもしれませんが、教会に行くことで解決が得られることを示唆しています。

人は自分に益があると考えなければ動くことはない

「教会に行くベネフィットを書いてください」と言うと、抵抗がある方もいるかもしれません。キリスト教がご利益宗教であると誤解されないか、という危惧もごもっともです。

しかし、世の中のほとんどの人は、自分に結びつけて何らかの益があるとわからなければ、自ら動こうとはしません。みなさんも興味のないチラシはまず読まないはずです。たくさんあるチラシの中から手に取って読んでもらうには、教会のチラシであろうとも、明確にベネフィットを打ち出すことが大切だと思います。

ただし、「主があなたを豊かに祝福してくださり、聖霊が注がれ、あなたの人生を計画してくださいます」というような専門用語だらけの文章は、あまりおすすめできません。これまで学んできたように、専門用語はなるべく使わず、信徒出ない方でも分かる言葉を使うことをお勧めします。

ぜひ「安心」と「ベネフィット」を意識してチラシを作成してみてください。