第8回「身内で無料」の落とし穴

この記事は、2015年にキリスト新聞で1年間した「スキルアップ講座 教会の情報発信術」を、さらに修正を加えて2016年度版として公開するものです。キリスト新聞はキリスト教界の最新情報を毎週まさに新聞という形で届けてくれ、たいへんためになる情報も盛りだくさんです。このような機会を与えてくださったキリスト新聞社のみなさまに感謝します。全42回です。

教会員や身近な人に頼むときの注意点

前回は業者にホームページの制作を委託したときの注意点について述べました。業者に委託した場合においても、ホームページの原稿は、自分で作る必要があるということでした。
さて、教会の中や身近な人でホームページのデータを制作できる人がいるならば、すべて教会内で制作することも選択肢です。費用もほとんどかけずにホームページができそうですね。

ただし、教会内や身近な人に頼む場合も注意点があります。

「ホームページを作った人が教会を出て行ってしまった。だれもホームページを更新することができない」という相談をよくお受けします。転居だったり、お仕事が忙しくなってしまったとか、家庭の事情で制作や運営が成り立たなくなってしまうことは、珍しいことではありません。そういった事情が無くとも、いつも「近々やります」としか回答をもらえず、一向に進まないというケースもあります。

困りましたね。頼んだ側は「無料でお願いしているし、無理なことは言えない」というわけで、強くお願いできません。別の人に依頼するにも、一度頼んだ人の手前、なかなか次に踏み切れないものです。
頼まれる側も「無料で作っているのだから、多少手を抜いてもいいや」という甘えが出てしまうこともあります。頼んだ側としては、少々気に入らない点があっても、無料で作ってもらっている手前、やはり強く言えないですね。

身内に頼む場合でも謝礼を支払うことも選択肢

業者に依頼する場合は料金を支払っていることもあり、しっかり作ろうという意識が働きます。期日などの約束も比較的守られます。しかし、教会内または身近な方に作ってもらう場合はどうしてもダラダラとしがちです。このようなところを自己管理頂けるようでしたら、問題ないですね。

ホームページの制作は、きちんとしたものを作ろうと思うと、大変な労力と時間がかかります。片手間に簡単に作れるものではありません。業者に頼むと多額の費用を請求されるものをお願いするということを覚えて頂ければと思います。身近な人に頼む場合でも、ある程度の謝礼をお支払いすることを検討しても良いと思います。

安いのには、必ず理由があります。

最後にホームページを業者に委託する場合の予算について触れておきましょう。
ホームページ制作の料金は本当にピンきりです。業者の立場から言わせて頂くと、10ページ規模のホームページの場合、20〜30万円程度頂かないと採算がとれません。
しかし、今はそれよりかなり安い価格で提供している業者がほとんどです。5ページ程度のホームページなら5万円以内で実現できるところもあります。しかし、安い価格で提供するためには、それ相応の工夫をしています。お客様に原稿をデジタルデータとして提出しもらう、あらかじめデザインのひな形を用意する、携帯電話のように初期費用を抑えて、月額費用の中で徴収するといった手法で制作コストを抑えています。

5万円以内といった低価格のサービスには必ず理由があります。業者の方に単刀直入に安い理由を聞いてみてください。そこが明快ならば、そういうサービスを使うのも手だと思います。

いずれにせよ丸投げはダメ!

業者に委託する場合も、身近な人に委託する場合も、決して丸投げはしないでください。デザインや技術面といった自分達で出来ない部分をサポートしてもらうという気持ちで、教会が主体的になって制作を進めて頂くことが理想です。この連載を読んで頂くことで、少しばかりはその助けになればと願っています。