第15回「伝わる原稿」のためにたくさん書く

この記事は、2015年にキリスト新聞で1年間した「スキルアップ講座 教会の情報発信術」を、さらに修正を加えて2016年度版として公開するものです。キリスト新聞はキリスト教界の最新情報を毎週まさに新聞という形で届けてくれ、たいへんためになる情報も盛りだくさんです。このような機会を与えてくださったキリスト新聞社のみなさまに感謝します。全42回です。

誰かに頼むにしても、原稿を書くのは避けられない

前回からホームページの原稿の書き方をテーマに取り上げています。
さて、どんなにデザインが素晴らしくても、原稿次第で伝わらないホームページになってしまうこともあります。どうしたら伝わる原稿を作ることができるでしょうか。

ホームページの制作を外部に委託する場合も、原稿は自分で作る必要がります。原稿も外部委託したいと思われるかもしれませんが、教会の魅力を伝えることは、その教会に長く携わり、思い入れのある信徒か教職の皆さんにしか務まりません。ぜひ、がんばって原稿を作って頂きたいと思います。

基本はたくさん書く

とにもかくにも、まずお伝えしたいことは「たくさん書く」ということです。
「教会の概要を書いてください」とお願いした時に3行程度しか書けない方がいらっしゃいますが、どんなに少なくとも原稿用紙1枚(400字)程度は書いていただきたいところです。

ホームページについてはこんな誤解があります。「文章はあまり読まれないので、できるだけ少ないほうがいい。画像を増やして、イメージで訴えよう」というものです。本当にそうでしょうか。

どちらのチラシが反応が良いと思いますか?

イメージ広告の例左のイメージをみてください。(クリックすると拡大します) 2種類のチラシがあります。上は文字数を減らして、印象的な建物をズームアップしたデザイン重視のチラシ。下は文章をたくさん入れたチラシです。

反応が良いのはどちらのチラシだと思いますか?みなさんはどちらの教会に行きたいと感じますか?

デザイン的には上の方がすっきりしていて、格好良く見えます。下の方は手書きで格好良いとは言い難いですね。

イメージ広告は作ってはいけない

しかし、この場合は下のチラシの方が、圧倒的に反応が良いのです。なぜでしょうか。
上のチラシは主に知名度のある大企業が作るタイプのもので「イメージ広告」と呼ばれています。イメージ広告は商品や企業のイメージアップを目的にしています。多くの人が知名度のある企業が用いるイメージ広告を参考にチラシを作ってしまうため失敗するケースが多いのです。知名度がないわたしたちが真似をしてはいけない広告なのです。

わたしたちがまずするべきことは「信頼」を作ることであって、イメージアップではありません。信頼もないのにイメージアップも何もないのです。チラシを見た人が安心して教会に来ることができるような内容が必要なのです。

文章で信頼を築く

そこで下のチラシです。下のチラシは決して格好よくありません。プロが作るチラシではありませんね。しかし、このチラシは読み手との信頼を築こうとする姿勢がにじみ出ています。読み手が安心して教会にきてもらえるような文章を配置し、敷居を下げているのです。その上で建物や牧師の写真を配置しているので、とても効果的なのです。

また、下のチラシは、文章をしっかり読まなくても、そこに人がいて、語りかけられている感じが伝わってきませんか?人間味がありますよね。文章は文字として読まれるだけではなく、写真やイラストと同じように雰囲気を作り出すこともできるのです。

また、文章は思いを伝えることができます。初めての方でも歓迎しますという思いを写真だけで伝えるのはむずかしいですね。

今回は理解しやすいように、チラシを例にとりました。ホームページはそれ以上に文章が大切になります。

教会の紹介文の原稿が数行程度だと本当に寂しいです。みなさんの教会を魅力的に紹介できるのはその教会に通っているみなさんしかできないことなのです。